1998年11月06日
EX-150:ブロック
いやいや、電子ブロックの真の主役はこれなんです。EX-150を入手したのは1998/10/24だった。これは実に発売(1977)から22年。発売中止(1988)からでも10年。その「おもちゃや」は私鉄のターミナル前にあって、とても繁盛しているお店で、まさか残っているとは思わなかった。「ダメでもともと」が功を奏した。 回転が良い店だからこそ残っていた。(売れないものをウィンドウに飾っておいてもしょうがないということか?)ということから考えると、店が仕入れたのはもっとも売れていた時期だろう。箱の裏には「800721」と刻印されていて、これを1980年7月21日製造と解釈すると私のEX-150は製造ラインが繁忙への急坂を駆け足で登っていた時期のものと推定される。 ブロックにはそうした様子がよく読みとれるとともに、よく考えられたEXシリーズのコンセプトが現れている。 パイロットランプブロック。ブロック右側のスプリングのしなりが大きい。 しなりの大きなブロックをケースに入れるとスプリングの上部が押しあげられて、スプリングを引っかけているポッチからはずれてしまう。STシリーズのブロックはこういうことはなかった。EXシリーズの生産量が増やされるに従って、こうしたブロックも作られていったのかもしれない。よく見てみるとブロックそのものはプラスチック成形であるが、そのバリ取りなどは人手を使っているようだし、スプリングの曲げは機械で一度に行っているようだが、その精度がこの時期落ちていたのではないか。半田づけは完全に人手で行っているようで、ブロック内配線に沿ってあらかじめスプリングに半田づけを行ってから、ブロックにはめ込んでいる。 こうした状態から如何にこの時期たくさんブロックが生産されていたかがよくわかる。 配線がブロック下部からはみ出ている。このことで部品はスプリングに半田づけされてからブロックに取りつけられていたことがわかる。下から配線がはみ出しているとブロックが傾いてしまい、通導しなかった場合があったのではないか。そのため歩留まりをあげるために、あえてスプリングのしなりを大きくしたのかもしれない。しかし、このSTシリーズからのブロックはスプリングに関しては高い精度を要求した設計になっていて、大量生産のための遊びを大きく取れるようにはなっていない。私は子供心にも、次の製品はSRシリーズのブロックを発展させたものになると予測したのだが、はずれてしまったのは残念。 こうしてケースに並べると、モスグリーンのブロックとケースの黒が非常に高級な雰囲気をかもし出し、ブロック上に銀色で印刷された回路図が浮き上がってくる。デザイン的にはシリーズ中最も優れている。殊に、ブロック単体ではそれほどでもないのに、ケースに並べると全体としてしっくり来るあたりに学研からのかなり強いデザイン的な掩護射撃があったと思われる。 EXシリーズ発売開始当時の電子ブロックの担当の方も自画自賛しているが、右にあるキースイッチブロックは、それまでは「電鍵」として別アクセサリであったものをブロックにしてしまったもの。発想の転換の成果である。 トランスをブロック二つ分のものに入れたもの。ケースから取り出せば中の部品も見える。現在ではこういう小型トランスは量産されておらず、この点でも現在電子ブロックの復活は難しいらしい。 (1998-11-06 作製) |
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