2001年06月29日

議定 21

政府による大規模な国立信用取引所

畜生共の政府の臣民は経済のことはとんと事情に疎い

 前回の集まりで述べたことに、今回は内国債について細かい説明を付け加えたいのじゃ。外債については、重ねて申し上げることはないのじゃ。外債のおかげで、儂らは畜生共の政府からたんまり稼がせて頂いたが、儂らの政府においては外国人がいぬ、すなはち、国外というものがない。

 儂らは行政官の腐敗と支配者の怠慢に乗じて、畜生共の政府には少しも必要でない金を貸して、その二倍、三倍、さらに数倍を儂らの金庫に収めたのじゃ。いったい誰が儂らをそんなにしてくれたのか?……そこで、朕は内国債について詳しくお話ししようと思う。

 政府が政府の為替手形すなはち利付き債券の購入者を公募したとするのじゃ。額面は小口大口いろいろ設けられ、早くから申し込んだ予約者には額面よりも割引いた金額で売るのじゃ。が、翌日になると、小細工を弄して、何しろ購入者が殺到したので、という口実で値上げするのじゃ。数日後に財務省の金庫はあふれんばかりで、予定額をはるかに超過したと言う(それなら、なぜ国債を発行したのか?)のじゃ。 予約額は債券発行額の数倍にも達したと発表される・・国債に対する信用を示そうというのじゃ。

 こんな芝居は芝居ですむが、新たに発生した債務をどうするのかという問題が起こる。途方もない額の債務が生じたのじゃ。利子を払うには、その財源に新たな債券を発行する必要が有る。新たな債券は元利を清算するのではなく、ただ単に新たな債務を上乗せするだけなのじゃ。政府の国債発行の限度を超えたら、新しい課税で取り立てる必要が生じるのじゃ。それも国債整理のためではなく、ひたすら利払いのためなのじゃ。新税はひたすら借金のための借金となる。

 そのうち債券書替えの時期がやってくるのじゃ。じゃが、これとても利率を下げることはできても、債務をなくなしてしまうわけではないのじゃ。それだけではなく、債権者の同意モがなくては書替えはできぬ。書替えにあたっては、同意せぬ人々には金を返済すると公告するのじゃ。もしも誰も彼もが、書替えは嫌だ、金を返せと言ったら、支払い不能に陥ることは火を見るよりも明らかであり、政府は自ら墓穴を掘ったことになるのじゃ。幸いにも畜生共の政府の臣民は経済のことはとんと事情に疎いから、金を新しい事業に投資して利が落ちるよりも書替えで利が薄くなる方がまだましだと思って同意するのじゃ。かくして臣民は数百万という政府の債務を穴埋めすることに協力してやるのじゃ。

 今日では、畜生共といえども外債でこんな芝居を打つことは、ごまかしが利かぬことが判ってきたのじゃ。儂らが全額払戻しを請求することが判ったからなのじゃ。

 このようにして明らかな破産倒産状態が生じ、人民の利益と支配者のそれとは一片も共通する所がないことが明々白々となったのじゃ。

 今お話したこと、これからお話することには格別の留意を払っていただきたいのであるが、内債は今日ではいわゆる短期公債、すなはち、多かれ少なかれ期間の短いものに整理されておるという点なのじゃ。これらの借金は貯蓄銀行に収納され資金として確保されるのじゃ。政府はこの資金を外債の利子支払いに当て雲霧消散させてしまい「、その穴埋めに同額の公債を当てておるのじゃ。

 畜生共の国庫からの資金漏出をとりあえず穴埋めしておるのは、実にこれらの短期国債なのじゃ。

 儂らが世界の王座に昇る時は、儂らの利益に反するかかる財政上の窮策を痕跡も残さず一掃し、併せて金融市場をすべて廃止するのじゃ。儂らの権威は価格変動に左右されるべきではないから、価格上昇も下落もできぬように、法令をもって価格というものを固定してしまうのじゃ。(価格を吊り上げるのは落とすためであり、実にこの方法によって儂らは畜生共との関係の初期にやつらを弄んだのである)のじゃ。

 儂らは金融市場に代えるに政府による大規模な国立信用取引所を設けるのじゃ。その目的は、政府の意図する通りに産業生産物の価格を設定することに有るのじゃ。この組織は一日に五億の産業証券を出してやり、また同額を買い取ることができるのじゃ。この方法により全事業が儂らに従属するようになるのじゃ。このことがいかなる力を儂らに与えるか、諸氏は御自分で想像していただきたいのじゃ。

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