2004年05月03日
WHY 意味による癒し
哲学話になるんですけど、頂いたおはがきの中に、1枚だけ哲学の話が好きというのがあって、今週は、V.E.フランクルさんの遺稿をまとめた「意味による癒し」ロゴセラピー、言葉による癒し、意味による癒しですね。
最近の日本人はポキンと折れるように亡くなられる方が多くて。一番大事なのは自分が生きていく理由、自分はなぜ生きているのだろう、これが一番大事なのじゃないかと。「生きる理由を持っている人はほとんどどんな事態にも耐えられる。」持っていない人は脆いのじゃないかと。
ユングは「過去の心の傷が未来を支配する」という考え。ところがフランクルさんは「過去からの影響を探求する学問であってはならない。未来に結びつけられない限り学問ではない。自分にとって人生は何か が問題なのだ」このかたは「人生に訊くな。人生に答えろ。」という。
ユングの「自己実現」..あなた、自分さえできればいいんですか?自己実現という発想は、宗教教団にいてその教祖を信じている人にとっては簡単に実現できるんですよ。世界をよくするために千人だけ人を殺しましょう。そして千人殺したと..よかったー自己実現できたと。
自己実現という方程式はありとあらゆる場面で使えるモノではない。ストーカーやレイプですら「自己実現」だ。これは変態の論理だと断ずる。この自己実現を一番目差しているのはアメリカ。スーパーマンの理屈ですな。一歩社会に出ると誰も自己実現を助けてはくれない。
「自己実現を目的にすれば、殉教にあこがれているカルト信者は、何人もの人間を殺害できる。」「自己実現するためには世界は無価値化する。」
「自己実現」という言葉が一人歩きすると危ない。
人生の意味は3つの道において発見することができる。
1:行為の遂行によって。
たとえば戦争によってぼこぼこにされた国がありました。助けに行きたい。自衛隊行きました。
2:価値の体験。
あなた達が来てくれたおかげきれいな水が飲めるようになりました。拍手喝采。こういう体験によって。私の行為は間違っていない。
3:苦悩によって。
苦しまなければならない。
この3つがロゴセラピーによって生きる理由を知る方法だと。
「性」をまな板においてみましょう。
行為の遂行:これ誰でもできます。街角で売ってたりもします。
価値の体験:いやー気持ちよかった。すっきりしちゃった。
そこに苦悩があったか:これがなければ..
不感症で苦しんでいる女性の例。「あなたの快感は自分に集中しすぎている。」ほんとに気持ちのいい性って相手になりきる。男が女になりきる。女が男になりきる。自分の性を乗り越えて相手になりきることで本当の快感がえられる。「忘我の境地」「我を忘れて」我を忘れないと楽しくないんですよ。散歩になりきると散歩は楽しい。
性犯罪者が性犯罪を繰り返すのは、自分の快感を追い求めるから。
自己超越性。目標を自分の中に置かないでください。目標は世界にあります。
人間の心は心を解き明かした心理学以上のモノである。オリンピック選手がよくいう。プレッシャーを楽しみますとか。楽しもうとすると楽しめなくなる。プレッシャーを感じたらもっとプレッシャーをもっと感じなさい。そしてプレッシャーを忘れたときに自己超越がおきる。
人間は苦悩する能力を持った生き物。これはすばらしい事。苦悩は自分が変わろうとしたとき意味を持つ。人生にWHY「なぜ」と訊かなくなり、人にHOW「どうすればいいの」と訊くのは、二つの条件がある。「困窮」と「退屈」。そういう意味ではテロリストとアメリカはよく似ている。「困窮」からテロを行い、「退屈」から攻撃している。
人間にとって一番必要なのは「ユーモア」
Source
意味による癒し ロゴセラピー
V.E.フランクル (著), 山田 邦男 (翻訳)
Amazonの「MARC」データベースより
「人生の意味」に着目し、フロイトの「性欲」論やアドラーの「権力」論を超えた、独自の心理療法「ロゴセラピー」を創始したフランクル。その思想・技法を平易に解説した入門書。E・ルーカスによる「ロゴ・テスト」論も併録。
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