2005年10月02日

別府ラクテンチケーブル線

「別府ワンダーラクテンチ」は2004年3月21日リニューアルオープンした。「ケーブルラクテンチ」、「ケーブル楽天地」の旧名称どおりケーブルカーで急勾配を登り立石山の中腹に設けられた遊園地へアクセスするのが特徴的。


このケーブルカーはかつての別府一番の中心地「流川通り(ながれかわどおり)」の行き止まりの地(流川通り18丁目)にあって、この繁華街から上り下りするケーブルカーを常に眺めることができた。観光客は繁華街をぶらつきながらこのケーブルカーの駅までたどり着くこともできた。 (この写真の撮影:2004-03-31)

ラクテンチのワクワク感はこのケーブルカーに乗るところから始まる。まさにワンダーランドに運んでくれる夢の乗り物なのである。駅に漂うレトロ感とケーブルカーならではの機械油のにおいがいつ訪れても他の遊園地とは決定的に異なる印象を与える。(この写真の撮影:2002-12-06)

このケーブルカーは遊園地の一施設のように見えるが、実際は地方鉄道法に基づく鋼索式鉄道で、歴とした「私鉄」というわけだ。このケーブルカーに乗るためには乗車料金のほかに入園料を支払う必要がある。届け出上の駅名はラクテンチ下は「雲泉寺(うんぜんじ)」駅、ラクテンチ上は「乙原(おとばる)」駅となっている。ラクテンチ上の遊園地のある地区にはいくつかの民家が建ち並んでおり、ここの住民に限っては、入園料を必要とせず、運賃のみで利用できる特例がある。その意味では「私鉄」としての機能もちゃんと果たしていると言えるわけだ。

この立石山中腹はかつては金鉱があって「別府金山」として採掘が行われていた。しかし、坑道が温泉源に突き当たり、このまま金を採掘し続けることで温泉源に悪影響を与えることを懸念する声が上がり、金採掘は中止され鉱山跡は遊園地として再生されることになった。

下駅に停車中の「ライト」号。搬器は黄色塗装のLight号、赤色塗装のStar号。
すごい急勾配なのは、見上げるようなレールが車体の向こうに見えることでもよくわかる。

車内。やはりすごい急勾配。向かい合わせの席のため、車内の階段1段がとても高い。全席下向きに配置するなどの工夫が必要かもしれない。

程なくスター号とすれ違う。勾配長253m、高低差122m、途中最急勾配区間は55.8%もある。角度にして約30度。垂直に切り立っているような感じを受ける。
車内での案内ではこのケーブルカーはスイスの「ギゼラインベルン式」であると放送されている。

特徴的な分岐レール。この分岐の仕組みついては ここ が詳しい。
さらに、鉄道マニア魂をくすぐる(「萌え~。」って最近は表現するらしい。)のが、架線柱が「トラス」になっていることである。

上駅からの眺め。ものすごい急坂で転げ落ちそう..

上駅にはケーブル巻き上げの巨大なプーリーが備えられている。

上駅の機械室。扉を開けてあって、中に設置してある巻揚機を見られるようになっていた。ただし立ち入り禁止の柵がある。

上駅には、大きな観覧車があってそこからの眺め。町中を一直線に貫いているのが「流川通り」

ラクテンチにはさらに立石山頂に向かってのリフトがあった。二つのリフトを乗り継いで向かう。途中駅が山腹に残っている。写真四角部分。クリックすると拡大写真です。山肌はかつてリフトがあった部分だけ木が低くなっているのがわかる。立石山頂には 環状列石の遺跡もあって、この山の形といい、金がとれていたことも考え合わせると、昔から何か曰くありげな場所ではある。

リフト下部には、「スイッチバック」のような勾配緩和のための「ループ」線があって、上り線だけジグザグに上っていた。その施設が木々に埋もれて残っていた。

写真撮影:2005-08-19
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