野方配水塔

野方配水塔

見たとたんにグッとくる光景というのが確かにある。野方配水塔はまさにそういう建物なのだった。

1997年1月の撮影になっているから、QV-10での撮影だろう。住宅街にヌッとそびえる異様な塔。初めてみたときに、広い風景を力尽くで切り抜いたような、そんな建物に、心臓がぐっと鳴った。

遠方からもとった写真があるが、だんだんと近づいてゆく感じを出したかったのだろう。小さな枠に収まってしまうと、「あの感じ」の再現は難しい..

「あの感じ」って何だろう..と思っていたら。あった。「千と千尋..」で千尋が初めて「油屋」をみたときの感じ。言葉になる感想が出てこないで、「変なの..」とつぶやいたあの感じ。この感じが子供の時代のあちこちにピンを押したようにある。

たしか、この写真はこの配水塔を見つけて、わざわざ横浜から写真を撮るために出かけていった。なぜこの塔を写真に納めたくなったか今わかってきたような気がする。

omoro.com によると、このアングルからでは塔はマンションなどの影になって見えないそうだ。でも、全く同じアングルの写真をこの方も撮っていたなんて...自分と同じ視点の持ち主が世の中にいることにうれしさを感じてしまう。