2008年04月01日

リュリ:アルミード

リュリのオペラバレ「アルミード」は当時から最高傑作との評価がたかい。音楽悲劇<<tragédie lyrique>>台本はフィリプ・キノ(Philippe Quinault)。 1686年、リュリ最後のオペラバレとなる。

この曲の魅力は、五幕の冒頭を飾る長大なパッサカイユ(Passacaille)だ。まさに圧巻といえるこの曲はまずダンスがひとしきりあったのち、レナウド(Renaud)役のテノールが合唱を交えながら朗々と愛の歌を歌い上げる。このCDではハワード・クルック(Howard Crook)が見事な艶のある声で聴くものを魅了する。その後、ダンスが繰り返される三部構成になっている。めくるめくリュリの世界でいつまでもこの幸せに浸っていたいという時間だ。

以前に、北区の「北とぴあ」でルセ指揮の「ルタランリリク」が招かれてまさにクルックのテノールとダンス付きのフルバージョンを見る機会があったが、オペラバレはまさに踊りがあってものだと実感した。まさにこのオペラバレは総合芸術の名にふさわしく、歌・ダンス・演技が揃って初めてものになるわけだ。その意味では日本の歌舞伎に非常に近いものがある。

Armide (1686)
Collegium Vocale et Chapelle Royale -- Philippe Herreweghe
Harmonia Mundi 901456.57
オペラ「アルミード」
コレギウムヴォカーレおよびシャペル・ロワイエ
指揮 フィリップ・ヘレヴェッヘ

もちろん、最初リュリにはまったのはパッサカイユ=シャコンヌにはまったことがあるんだけど、その後、オペラバレを「聴き」はじめて以降、あのリュリ節の虜になってしまったのだった。こればかりは文字では書けない。レシとエールの融合とよく表現されるが、そう、文字で表現すればそんなものになってしまうが、ちょっと違うのだよ。踊りながら歌い遊び嘆き悲しみ飛び跳ねる...そんな感じがとてもいいんです。

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