2008年07月28日
日本は中国に併合されるのか..未来人タイター騒動
未来人ジョン・タイターのドラマに巻き込まれてみる。これは2000年11月から2001年3月までの約5ヶ月間、未来からのタイムトラベラーと称する人物によって、アメリカのネットの書き込みがあり、議論を呼んだ出来事だ。
しかし、事はそれだけでは収まらなかった。ジョン・タイターが「任務終了」として「未来へ帰った」あと、彼の「予言」がいくつかあったって行くことが解り、にわかに議論が沸騰した。
しかし、彼の母親が言うように、これは「もうすんだ話」だとすれば、いったいどうなるのか。答えはただ一つこれは「物語」。現在進行した物語と考えれば、この話はすべて受け入れられる。
ジョン・タイターの「任務」は以下の通りだ。
- 2036年から1975年へ行き、IBM5100を入手する
- 1975年から1998年へ行き、2000年問題から家族を守る
- 2001年までとどまり、ネットでのやりとりのおける何らかの任務を遂行する。
- 2001年から2036年へ、1998年経由で(あるいは1975年経由で)帰投する。
この任務を果たすために、開発されたばかりのタイムマシン操縦を軍隊で訓練を受けた。その内容は機械工学的なものの他に、自分自身と出会ったらどうするかなど、精神面での訓練が大きな比重を占めたという。
IBM5100が未来において必要とされる理由は、公共サービスを支えるコンピュータが2038年問題によって被る被害を回避するためだという。近未来の2036年においては2005年のアメリカ内戦に端を発する世界戦争により、社会基盤は疲弊しており、古いプログラムで動いているコンピュータ制御機器のプログラムを修正する必要があるからだ。....ほら、立派なSF小説だ。しかも現在とリンクしていてとてもおもしろい。
1975年に行く理由の一つに、ある人物と会う必要がある..これが彼の祖父でコンピュータ技術者だった。祖父はこの時点ですでに2000年問題の深刻さに気づいており、未来へ帰る孫へ将来起こりうる2000年問題によるパニックから息子夫婦を守って欲しいと依頼される。
そこで、1998年自分が生まれる年へ向かい、若い夫婦に事情を説明してフロリダへ引っ越しをさせる。しかし、2000年問題に起因するパニックは回避される。その後、ジョン・タイターは未来からのタイムトラベラーであることを明かして、ネットへ書き込みを始めるというわけだ。
ネットでのやりとりは、もちろん、バカにするもの、興味本位な質問、真剣な議論これらが混ざり合って混沌とした状況になるのだが、それら、ネット上での参加者もすべてこの「物語」の登場人物だ。見事な演出と言うほかない。2003年にはこのネット上のやりとりを元に本が出版され、その翻訳は日本でも2006年に出版されている。
「バックトゥーザフューチャー」のような映画...ん?!登場人物、配役もそっくりじゃないのか?これは(笑)リアリティを感じさせる工夫も随所にあって、その一例が「多重世界理論」だ。「世界線」という重要キーワードが出てくる。世界線が異なるいくつもの人物や事象が多重構造をなしているのがこの時空だ。タイムマシンはその間を行き来するのだが、完全に元の世界に戻れるわけではない。航時距離が長いと誤差が大きくなりまったく別の世界へと着いてしまうこともある.....ってこれも、何かのSFにあったぞ。
それで、リアリティを感じるのが2000年問題が回避されてしまう件だ。ジョン・タイターの「世界線」では2000年問題は大きなパニックを引き起こしているらしい。そして、2005年にはアメリカで内戦、それも「政府」と「市民」が「都市」と「農村」に分かれて戦うという....この設定も、ディックあたりにあったような..
しかし、この物語はまだ続いている。日本と韓国・台湾は中国に「強制的に併合」されるとか、北京オリンピックは中止、とか、中国がオーストリアに戦争を仕掛けるとか、ロシアが第三次世界大戦を起こすとか、ジョン・タイターの「世界線」では21世紀は紛争に事欠かないらしい。
この件に関して近未来、もっともありそうなことは「映画化」かもしれない...見てみたいぞ。
未来人ジョン・タイターの大予言―2036年からのタイムトラベラー (MAXムック) (単行本)
ジョン・タイター (著)
2000年11月から4ケ月の間、2036年からタイムトラベルしてきた と名乗る男(ジョン・タイター)がアメリカのインターネット掲示板に近未来 の出来事を掲示しました。のちにその予言(狂牛病やイラク戦争)が的中する と全米のネット上は騒然。その予言にはまだ先があり、現在もなお掲示板やブロ グなどで物議を醸しています。
本書はジョン宛てに書き込まれた質問とそれに回答するジョンのコメントで 構成しつつ、ジョンの母親の話も交えながら、Q&A方式で進んでいきます。ま た、タイムトラベルの理論に迫りながら、タイムマシンの写真公開、予言の検証 なども収録しています。
すべてを根底からひっくり返す、タイムトラベラーの出現。事実かそれと も希代のホラ吹きか。それは皆さんが確認してください。
この、ネット上でのやりとりで印象的なのは、ジョン・タイターが13才の子供の時の描写だ。それはまさに今、アフリカで起きている「内戦」で、少年達がさらわれて兵役に就かされているという事実を彷彿とさせるものだった。
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