2001年07月14日

議定  6

奢侈に対するあくなき欲望

投機は産業に平衡力をつける役割が有る

 儂らは近く巨大な独占を確立し始めるじゃろうて。それは畜生共の巨万の富がすっぽり入るような、並外れた富の貯水池なのじゃ。政治的破滅に続く時期には、政府の債権ともども畜生共の財産も枯渇するじゃろうて。

 御列席の経済人諸君は、この連携作用の趣旨を評価されるのにやぶさかではなかろう。

 あらゆる手だてをつくして、儂らに進んで従う者すべての保護者、恩人を代表するものとして、儂らが超政府の重要性を強調せねばならぬ。

 畜生共の貴族は政治的勢力としては死んだ・・儂らはやつらに考慮を払う必要はないのじゃ。じゃが、土地の所有者としては、やつらが生活しておる土地の資源を使って自給自足しておるという事実をもってする限り、無害な存在ではあるじゃろうて。従って本質的な問題は、原価がいくらかかろうとも、やつらから土地を奪うということに有るのじゃ。この目的達成の最も良い方法は、土地を所有しておることが、だんだん重荷になるようにすること・・負債で土地を圧迫することなのじゃ。この為には土地所有の状態を監視し、高慢にさせずに無条件に服従させ続けるじゃろうて。

 畜生共の貴族は、生れつき足りることを知らぬので、急速に燃えつきたり初めはうまく行っても失敗に帰するじゃろうて。

 そうなったらすかさず、儂らは無条件に商業と工業の保護者にならねばならぬが、真先になさねばならぬのは投機なのじゃ。それは産業に平衡力をつける役割が有るのじゃ。投機産業がないと個人の手中にある資本がふくれて、土地銀行からの負債をなくさせ農業の復活を助けることになるじゃろう。儂らが欲するのは、産業に土地から労働と資本を吐き出させることであり、投機という手段で世界の金すべてを儂らの手に移すことなのじゃ。そうしてこそ畜生共は、ほかに生きる理由がなくて生存する権利を得ようというなら、儂らの前にひざまづくほかはなくなるじゃろうて。

 畜生共の産業を完全に滅亡させるには、投機の助けを借りて、儂らが畜生共の間で盛んにしてきた奢侈、何もかもを呑み込んでしまう奢侈に対するあくなき欲望をつのらせるじゃろうて。しかしながら、儂らは労働者には好都合にならぬ程度に賃金の上昇をはかるじゃろうて。同時に、農業や家畜飼育が駄目になったから上がるのだという理由を付けて、生活必需品の価格をあげるじゃろうて。儂らはさらに進んで、労働者を混乱浸し酒漬けにし、それに加えるに、畜生共の頭の良い者たちをすべてこの世から根絶すべくあらゆる処置を講じ、生産の根源力を巧みに深く蝕むじゃろうて。

 時期尚早のうちに畜生共に真相をさとられぬようにする為に、儂らは仮面をつけて、儂らの経済学説が精力的に宣伝する偉大な政治経済原理のもと、いかにも労働者階級に役立つかのように情熱を傾けて説き伏せるじゃろうて。

この議定書が書かれた頃は経済学者がもっともらしいゴタクを並べ始めた時代でもあった。その多くがリニアな学説であり、様々な要因を排した「純粋状態」でのみ成立するような説ばかりだった。この議定書はそれらを皮肉ったもの。
(2005/09/24 コメント)
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