2002年06月14日

野毛線跡

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野毛線跡

私のページをごらんいただいている方から、「野毛付近の地図を見ると,興味深い曲線道路:日ノ出町~桜木町間を斜めに緩いカーブを描いている細長い敷地(宮川町1丁目・2丁目の間から野毛1丁目の真ん中を貫通している細い2本の道路に挟まれた土地)って,東横線の湘南電鉄連絡用路線に確保した土地だったんじゃないでしょうか.まったくの推測ですが.」というメールをいただいた。

地図を見るとたしかに、大岡川沿いに走ってきた線路が日ノ出町の手前ところで急カーブを左に切っている。本来はこのまままっすぐ進んで、桜木町駅へ向かうのが自然で、それを裏付けるような高架線の幅を保った細い土地の存在。そこで、この未成線をかってに「野毛線」と名づけて歩いてみることにした。

本文の番号は地図内の番号に対応します。 野毛線跡
1:ガード沿い左側、黄金町方面より日ノ出町方面を望む。高架線は左に急カーブをきる。道は直進する。

野毛線跡 2:大岡川沿いに、日ノ出町から黄金町方面を望む。電車は急カーブを回って川沿いにゆっくり走る。

野毛線跡 3:高架線が左にそれた直後の道のカーブ。今回の例は多くの例にあるような「廃線跡」ないし「未成線」そのものではなく、「未成線」に沿った側道を見ることで、造られていたかもしれない鉄道構造物を想像するという作業だ。そのためには地図が頭の中にあって、かつ自分の歩いているところがどこかが正確にわかっている必要がある。そして、目前には造られていたであろう鉄道構造物がありありと見えていて、現実の建物とオーバーラップしている必要があるのだ。

野毛線跡 4:横浜駅根岸道路と大岡川が交わった長者橋西詰から大岡川沿いに桜木町方面を望む。道はいったん下ったあと上っている。

野毛線跡 5:横浜駅根岸道路沿いの敷地断面。日ノ出町駅前のバス停がある。「ミツワグリル」とその隣の建物がちょうど敷地跡に相当する。この幅は16歩。意外と狭い。京急の高架線下も同じ16歩であった。

野毛線跡 6:宮川町の五差路を桜木町方面を望む。手前の敷地が駐車場になっているために敷地断面の建物がよくわかる。スナックと隣のビルが敷地の幅。この付近で工芸会社を営んでいる方にこの敷地についてお話を伺うことができた。それによると、この敷地は確かに線路を敷くためのものだったが、持ち主は国鉄だったという。戦前からあったものだが、敷地は国鉄から借り受けて会社を開いていたそうだ。敷地は柵で囲った空き地などではなく、どこも借地として使われていたという。
 払い下げられたのは昭和30年ごろだったそうだ。この敷地には線路を敷くときに使用すべく通信線(?)を通すための管かなにかのコンクリート製構造物があらかじめ埋められていたそうだ。この付近は横浜の中心地で今はやや場末の感があるが、住宅、飲み屋、商店、町工場など雑多な建物が多く密集している。

野毛線跡 7:野毛町から桜木町方面を望む。正面に大きなビル。桜木町の駅ビル。左にゆっくりとカーブして桜木町駅への接線弧を描く。

野毛線跡 8:宮川町の線路敷地内にあるスタンドバー。昭和30年代という感じの雰囲気がそのまま残っていてなんかいい。横浜のこのあたりは自分の生まれ育った場所の雰囲気によく似ていて好きな場所。つい、こういう建物には目が行ってしまう。

野毛線跡 9:野毛町から国道16号へ抜ける方角を望む。ゆっくりしたカーブを延長すると桜木町駅につながる。16号はひろく、桜木町駅付近は再開発で大変化を遂げた。これから先には跡を見ることはできない。

野毛線跡 10:国道16号へ抜ける位置。吉野家の看板がある。

野毛線跡 11:国道16号へ抜ける位置から日ノ出町方面を望む。

野毛線跡 12:11と同じ位置から国道16号方向を望む。同じ位置なのにまったく異なるながめ。
(2002-06-14作成)

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