2003年04月07日
唱歌・童謡ものがたり
定番の持っている強さ。唱歌「ふるさと」をはじめ、日本の唱歌童謡をかけてその「詩の力」を味わってゆく。
オフコースの小田さんと話しているときには、いつもこの話になる。「おぼろ月夜」をみろと。「菜の花畑に入り日薄れ」もうそれで全てじゃないか。これはいつも自分の頭の中にある。小田さんはこの「定型の強さ」というのを骨身にしみて感じている人なんですよ。
「サトウハチロー」の「小さい秋見つけた」。「誰かさんが」という出だしがもういい。2番目の歌詞がはっとするくらい暗くなる。「らせん」「リング」っぽくなってくる。ほの暗い怨念のような、けっして入ってはいけない開かずの間のような。「お部屋は北向き 曇りのガラス うつろな目の色 溶かしたミルク」作詞者が子供の頃に風邪を引いた記憶で書いたもので、子供の目で秋を見つけるという天才的な作詞。
「島原の子守歌」方言まぜこぜの言葉遊び。この締めの文句「鬼の池久助どんの連れん来るらるるばい」。この鬼の池久助という人がすごい。この人は「からゆきさん」の元締めなんですよ。島原地方で暮らしがどうしようもない家庭が娘を久助に売るわけですよ。久助どんは長崎から東南アジアに向けてこの娘を輸出するわけです。この歌詞のもっている暗さというか、がある。江戸時代からこの稲作の向かない地方に無理矢理稲作を定着させようとして飢饉がつづき、農民が命をかけて一揆を起こすことが頻発する。で、昔からの人身売買がある地方で、この鬼の池久助という人は外貨を獲得したということで明治政府から勲章を貰っている。で、この人は島原地方でも一目置かれた事業主だったわけです。だから尊称であるところの「どん」をつけている。呼び捨てにしないわけですよ。この歌を聴くたびに島原の貧しく生きた民衆の怨念みたいなものを感じるわけです。
「里の秋」これは子供の時から好きなんですよ。3番がちょっと不思議な歌詞。なんと「さよならさよなら椰子の島」なんですよ。これは南方から復員するお父さんを待っている親子の歌だったんですね。この歌に流れるのは戦争に負けた虚脱感と静寂。
最近の音楽の教科書から唱歌とかが抜かれているが、意味が分からなくても、古語とかの感性はDNAに残しておいた方がいい。
Source
唱歌・童謡ものがたり
読売新聞文化部 (著)
Amazonの「MARC」データベースより
「浜辺の歌」「月の沙漠」「赤とんぼ」…時代の変転を超えて愛唱される71曲をとりあげてゆかりの地を訪ね、その誕生と普及にまつわる数々の逸話を掘り起こす。読売新聞日曜版連載「うた物語」の単行本化。
らせん Hit-Bit Edition
出演: 佐藤浩市, 中谷美紀, その他 監督: 飯田譲治
Amazonの「DVD NAVIGATOR」データベースより
鈴木光司原作の大ヒットホラーが低価格版、ハイスペック仕様のHi-Bitバージョンで登場。ある男の死体を解剖し、胃の中から数字の羅列された紙切れを発見した安藤。彼はその死体がかつての同級生だったことを知り、第1発見者・高野舞と共に謎を追う。
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