2003年10月27日

神話の時代(その1)

今週は、神話の話。ネタ本はやはり河合さんの本です。
神話と日本人の心
河合隼雄
河合さん曰く、

平成というこの時代 神話が暴れている。子を殺す、親を殺す。子供が親父の母親をとろうとして父親を殺す...

神話の中にはこういった眉をひそめる話がいっぱいある。案外、遠い昔の神々の諍いが隣のもめ事と同じだったりする。
古事記・日本書紀=記紀
これらは単なるプロパガンダとして、戦争で利用されたのみなのか。拒否反応を起こすのはそろそろやめて、あるんだったらちゃんと見ようと言うこと。

武田さんは、古事記や日本書紀の記述をまるで祝詞をあげるような口調で読みます。なるほど、祝詞の口調は「舞台発音・発声」だったのかと。合点がゆきます。ここからは、古事記や日本書紀の筋を追わずに、特徴的な部分を抜き書きしてゆきます。

国産みの冒頭の件り

「おまえのカラダどうなってる?」
「なーんか、一つたりない。スースーする。」
「おれね、一カ所余ったところある。」
「余ったところを、たりないところに差し入れて、産もうか」
まあ、直接的な性表現ですね。 西洋の学者、「B.H. チェンバレン」は古事記・日本書紀を翻訳するんですが。これを見て怒る。「なんて猥褻な。」

国産みのための儀式。天の御柱=オレは左回りね。おまえ右回りね。」

いざなみ「おねがい!いい男としたい!」
いざなぎ「おねがい!いい女としたい!」
第一子 ミズヒルコ 足腰が萎えて立たない

芦船で流す

蛭子(ヒルコ・エビス)恵比寿

流されて鯛を釣って帰ってくる

風土記・恵比寿伝説・神戸生田神社・四国から流れ着いた。対岸の村はみんな蛭子姓。おそらく長崎出身の漫画家「蛭子さん」の先祖はここの出身ですよ。知らないけど間違いない。
日本の漁港が恵比寿神を祭る。大漁神。パピルスで流される。(モーゼの伝説に似ている)

なぜ、生まれてきた子がうまく育たなかったのか?水子だったのか。? そこで、いろいろあって日本が生まれてきます。 軻遇突智(カグツチ):火の神様を産む。火の神様だから産んだとたんに産道が焼けて、「御女陰(ほと)焼かれて病み伏せり」
かっとなって父親は生まれたばかりの子供を殺す。愛する妻と自分を引き離す子を殺してしまう。
悲しむ伊耶那岐命(いざなきのみこと)は大小便をまき散らしてゲロを吐いて、これが穀物になる。なんか、聞き覚えありませんか。「千と千尋」 ゲロをはき出す神 南方神話の伝説と酷似

そして、伊耶那美神(いざなみのみこと) は死じゃうので、それを追って黄泉の国に降りていく。「まだ国作りはまだ終わっていないから会いましょう。」「あなたが迎えに来るのが遅いから、もう帰れないわ。」「顔を一目みたい。」
そして、 伊耶那岐命(いざなきのみこと) 頭に刺していた櫛の歯を一本折って火をともす。また「火」がでてくる。扱いを間違えば大変なことになる。
明かりをともしたときの形相の恐ろしさ。
恋しくて会いに来たくせに。悲鳴を上げる「おんかしこむ!」(ビックリしてからだがこわばる)すると「私に恥をかかせたね!」とスゴイ形相をする。
妻とはいえ明かりを点けてはいけないときはある。
日本の初めての夫婦はうまくいかなかったんです。

(2003/10/27~31 放送)

Source

cover 神話と日本人の心 (単行本)
河合 隼雄

Amazonの「BOOK」データベースより
日本を代表するユング派心理学者であり、『昔話と日本人の心』などの著作で独自の物語論を展開する著者が、日本神話の意味とその魅力をわかりやすく語る。他世界の多くの神話と異なり、太陽神はなぜ男性ではなく「日の女神」アマテラスなのか?繰り返し現れる神々の「トライアッド」構造とは何か?母との一体性、トリックスター、英雄…さまざまな顔をもつスサノヲとはいかなる神か?「見畏む」男神たち、流し棄てられた神ヒルコは何を意味するのか…。『古事記』『日本書紀』の世界を独自の観点から、また世界の神話・物語との比較をまじえた広い視野からよみとき、日本人の心性と現代社会の課題をさぐる。

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