2003年12月08日
森が海を育てる(その1)
汽水は海水と川の淡水が混ざり合う水域のことで、まさにここは魚の宝庫。気仙沼で牡蠣の養殖をされている畠山さんが、植林運動を進めていく話。
枯葉は川に落ちて腐る、それが植物プランクトンを育て、河口にいたって動物プランクトンを育てる。動物プランクトンは海の生き物を育てる。まさに川は「血脈」だから、その血の流れを絶ってしまうダムはよくない。時々流す程度じゃだめと言うこと。
東京湾と鹿児島湾ではどちらが漁獲量が高いか。圧倒的に東京湾。30倍だそうだ。それは湾に注ぐ川の量。東京湾に注ぐ川は多摩川荒川をはじめとして多くの川によって、非常に栄養豊富。したがって日本有数の豊かな漁場。それに比べて鹿児島湾は注ぎ込む大きな川がない。
三桁国道の旅で全国を回っているが、若い頃はものの見方が全くなっていなかったことを思い知らされる。佐呂間湖畔に行ったとき、湖畔に森があるので、そこを散歩した。全くおもしろくない森。なぜこんな森を?と思ったが、それは全くの浅はかな思いで、実は、サロマ湖の漁師さんたちが土地を買って植林した場所だった。そして、ちゃんと畠山さんたちと情報交換をして豊かな漁場にする努力を重ねて、今はホタテ貝日本一になった。
そういえば、私が全国を回っていて何となく感じていたことの裏付けをしているような感じがした。それは「背に国定公園がある港町の魚は旨い。」まさに、このことを論理づけてくれたのがこの本だ。
そういう、功績で畠山さんは宮中へ呼ばれて功績をたたえられている。そのときに美智子妃殿下から「アオバジョウについて教えてください。」といわれて戸惑う。てっきり仙台の「青葉城」だと思っていたのだが、後からこれは季語の「青葉潮」(アオバシオ)のことだと判って恥じ入る。古代の人はリン酸ということは知らなくても、青葉潮という季節の変化で知っていたのだと。 「青葉潮吃水線に稚魚群れる」という句もあります。
Source
日本<汽水>紀行―「森は海の恋人」の世界を尋ねて
畠山 重篤 (著)
内容(「MARK」データベースより)
森と川と海が一つになるところに、人間にとって大切なものがある-。「森は海の恋人」の植林運動を行ってきた気仙沼の漁民が、海藻・魚介の宝庫である汽水の恵を求めて全国の河口をめぐるエッセイ。
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