2004年03月29日

秘すらば花 小津安二郎 その1

「秘すらば花」日本の伝統:不思議な表現方法 今やヌード写真集の時代。M字開脚とかされてもこまるんだよなー。あれはヌード写真集じゃなくて解体新書だ。

「ある人物・全く知らない人・しばしば私の耳の横を通り過ぎていった人」
山田洋次監督「幸せの黄色いハンカチ」撮影中に「ようい!」  って言った瞬間、「ちょっとまって」といって、健さんの下宿、机の上の吸い殻いっぱいの灰皿をとって、端っこの方を金槌でちょっと欠く。そしてそのあと一瞬撮影を止めた自分を自虐的に言う 小津さんに似てきちゃって..
「小津」という名前
映画「ヨーロッパ特急」を撮影にフランスに行く。 若い映画ファンがよってきて、「小津はもう新作を撮らないのか」なんて訊いてくる。小津安二郎の写真集が本屋にあるんですよ。パリの夏のバカンスでは名画を映画館にかける伝統があるんだが、そこでは小津は黒沢に劣らず人気がある。

「東京物語」 「雨月物語」 「晩春」 「麦秋」

どこがいいのか 家族の問題を丁寧に描く 普遍的な人間の愛の問題があるという。
ふつうの映画監督は事件が起きないと映画にできない。でも、本当にいい映画は何一つ事件が起きない映画。それが本当にいい映画。小津にはそれがある。物語がないのに物語を感じること。そして、愛と絶望は同じものだと問いかけてくる 愛とは絶望だと映画で描く。
表現しないことで表現しようとする これが日本の伝統 
見せないことで見せる=「秘すれば花」 そして、物語を映画館で完結させず、観客は物語を家に持って帰る。

「七人の侍」公開時、小津はくすっと笑った「若いなぁ黒沢君は」

小津映画の秘密はどこにあるのか。
戦中の映画 「父ありき」
軍部は大絶賛 これこそ大和魂
戦後進駐軍がやってきてできたのは2分カットだけ。それは詩吟の場面だけ。そのほかの場面はカットしようがない。
小津の言葉は「軍部一つだませないで演出ができるのかね明君。」小津監督は若き黒沢監督にそういったのではないか。 戦中の軍部とか進駐軍の連中とかそんな奴らが見ても 重要なテーマがストーリーに隠してあるから見抜けない。 これが小津の強かさですよね。 そしてこの映画のラストシーンには「ものすごい仕掛け」があるんです。

(2004/03/29~04/02 放送)

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cover 父ありき
出演: 笠智衆.佐野周二.津田晴彦.佐分利信.坂本武.水戸光子.大塚正義.日守新一.西村青児.谷麗光 監督: 小津安二郎

Amazonの内容紹介より
小津安二郎監督作品と言えば、真っ先に名前が浮かぶ俳優・笠智衆が主役の父親を演じた作品である。東京で学校の先生をしながら一人息子を男手一つで育てていた父親が、先生をやめ故郷に引っ込むが、再び小学生の子供を残したまま東京に出て、その後離れ離れの生活が続き、やがて、大学を卒業した息子(佐野周二)と再会するという物語である。多くを語らずとも、父と子の互いを思う愛情が伝わってくるのは、小津作品ならではの見所である。セリフやナレーションに頼らず映像中心に登場人物達の心情を描く映画ならではの良さを堪能できる作品である。

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