2004年07月26日
カマキリは大雪を知っていた
私がよく行く駅前の本屋。そこは大型書店が次々と出店するなか、ちょっと変わった本と雑誌コミックで生き残っている本屋。そこの親父が私の買いそうな本を置いて、私が買うと「買うと思った^_^」とにんまり笑うのが習慣になってる。
その本は、「カマキリは大雪を知っていた」著者は酒井さん。これが面白い。
新潟県の昔からの伝承。「カマキリが高いところに産卵すると大雪。」 これを非常に綿密に調べた。
私は最近、「非因果」という考えに魅せられてまして^_^;。
大学の先生はついにこの酒井さんの研究を認めた。カマキリの産卵する位置と大雪の高さに因果関係がある
昭和38年のいわゆる「三八豪雪」 318cmの大豪雪。電気屋さん。仕事が大忙し。大雪のつらさを身にしみる。「そうだなぁ。去年の秋、妙な高さにカマキリが卵を..」という土地の古老の話がでてくる。
そこで、酒井さんが40年をかけて調査をするわけです。 この内容が途轍もなく面白いのです。武田さんは、よくわからないんですけどと断りながらも非常に興奮されて、いわゆる鉄也節連発です。ざっと内容を並べてみます。
○西洋科学:カマキリがそんなこと知るはずがない 因果関係がない
○東洋:虫の知らせ
○カマキリは冬の初めに死んでしまう。卵に託して冬を越さない。
○カマキリが生まれるのは3~4日雨が降らない日が続いた日に限られている。
○カマキリの天気予報は命がけ
○秋穏やか..産卵後90日後に必ず大雪
○新潟のカマキリは杉の林を選ぶ
○町、周辺部、山で降る雪は違う
○九州生まれのカマキリでも、新潟に連れてくると、産卵に高いところに上り始める
○カマキリは木からその年の降雪量を占っているんじゃないか
○杉の木から何かを聞いている
○微弱な音、木のなかを伝わる水音を聞く機械を発明して
○幹の高い位置に逆止弁をもうけてそこまで水を吸い上げる。それがその年の 降雪量を予測している。
○5つの樹木音の折れ線グラフの逆さまが8月に出てくる。
これが天気とぴったりとあう。3ヶ月予想。
○カマキリは種の全滅かどうかがかかってる。
○カマキリの予想は天気だけではなくなる。
○地震予知。地中の生き物が地震を予知したという話は、どこに行ってもある。
○なぜ3ヶ月後に起きるのか。地球が回転しているから。
○フレミングの右手の法則に従っている。
40年間調べて、論文を大学に提出して博士号をとった。
堺さんを支えた人は土地の人。地元の人が来年の降雪量を酒井さんのところに聞きに来るようになった。
カマキリが生きているという環境がいかに大切か。
2004-07-26~30放送
Source
カマキリは大雪を知っていた
大地からの“天気信号”を聴く 人間選書
酒井 与喜夫 (著)
Amazonレビューより
何かを研究するというのは本当に時間と手間のかかることだ。
カマキリの卵のうの高さでその年の雪の深さを予想したという昔の人の洞察力にも感動するし、この言い伝えを科学にした著者のねばり強さにも感動する。
自然のしくみの偉大さもすごいし、自然から離れて進化してしまった人間にもまた違う偉大さがあるのだと痛感する。
なまじな推理小説を読むよりわくわくする本。
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