2004年07月05日

フェルメールの時代の絵画 日常礼賛

フェルメールやレンブラントは「奇跡的な人」というのは、それまでのヨーロッパの絵画はイエス様やギリシャ神話ばかりを描いてきた。ずっと続いてきたそういう時代に鉄槌を下したのがフランドル派といわれる画家たち。

すごくいいんですよねー。フェルメールの 牛乳を注ぐ女。 それから、レンブラント。「聖家族」小さな赤ちゃんを抱く母親。その横には大工と思しき父親。副題に「指物師の所帯」とある。一見キリストの生まれた家庭を描いているようで、それはオランダの日常の風俗を描いてもいる。

でも、なんか好きなんですよねー。そう、なぜ好きなのか。これは、前にも取り上げたけど 脳は美をいかに感じるかでも、言った「きれいなモノを見たときに脳は言語化しない」ということなんです。印象のみで記憶に残している。

たとえば、舞台や映画では、重要なことが目の前だけで起きているような、そういう演出には人はすぐに飽きてしまう。良い演出家、演劇人は見ている人に「カット割り」をさせるのがうまい。これは舞台の端っこの方の人も決して動きをやめない。誰かの演技に集中しているときでも目の端っこの方には、何かやっているのを脳が覚えていて、「あそこでは何をやっていたのか、また見たい」となって、観客がリピートしてくる。そういう仕組みなんだそうな。だから、俺たち演劇人はとにかく動こう。そしたら、また、それを見てた人がもう一度やってくるかもしれない。

17世紀、オランダでは聖書や神話のシーンをでっち上げて「美」を描くことをやめた。なぜこうした「卑属な」日常を描き始めたのか?それは、大航海時代と深く関係しているという。その関係とはなにか?

そして、「暮らしの中に神が演出したとしか思えないような輝かしい一瞬」が訪れるその偶然とは?

さいごに、武田さんは東京都美術館にやってきたルーベンスの自画像を見て、その解説を読んで驚愕したんだそうな。 ああ、ルーベンスも痛風だったんだ。オレの痛風も無駄じゃなかった。ルーベンスと引き合わせてくれたのだからと。


(2004/07/05~07/09 放送)

Source

cover 日常礼讃―フェルメールの時代のオランダ風俗画
ツヴェタン トドロフ (著), Tzvetan Todorov (原著), 塚本 昌則 (翻訳)

Amazonの商品紹介より
日常生活のさまざまな情景が、完全にひとつの独立した主題となった17世紀のオランダ絵画。その「表象」の意味を分析しつつ、「風俗画」という新しいジャンルの誕生とその後の展開をたどる。

17世紀初め、日常生活と絵画の出会いから生まれたオランダ絵画の傑作の数々。画題とスタイルに革新的な変化をもたらしたその豊かな意味を、ステーン、テル・ボルフ、ハルス、フェルメール、レンブラントの作品のなかに探る。

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