2006年01月22日

360万円のピアノ

かつて、河合楽器がバブルの頃にラインナップしていた古典鍵盤楽器群。その栄光の在りし姿を当時のパンフレットからスキャンした。


ハンマクラヴィーア

これが360万円のハンマフリューゲル。見た目は、長いグランドピアノ。これで高いのか安いのか。かつてバブル末期の頃、カワイピアノが売り出した、古典鍵盤楽器群。とにかく贅沢な楽器だった。一度だけ弾いてみたことがあるけど、とても良い材の良いところだけを使っていて、これならと思った。 音はまだ若かったけど、弾き込めば必ず艶のある良い音に変化するだろう資質を持っているように思えた。

1795年のワルター モデル。 音域はわずか5オクターブ。モーツァルトのピアノ協奏曲はこの楽器のためにかかれている。音域は最低音から最高音までを使い切っていて、モーツァルトはまさにこの楽器全体を鳴らし切ることをあの曲々の中で計画していたわけだ。

そして、現代ピアノでモーツァルトを弾いたときには鍵盤の真ん中あたりで曲を弾いている感じになるが、この楽器を使って最高音に右手の小指が達しそうになるときのあの何とも言えない圧迫感..この緊張感というか恐怖がまたたまらないのよねー

チェンバロ

2段鍵盤チェンバロ。チェンバロに関してはバブル時期のイメージが今も続いている。チェンバロといえばこの2段になった白黒リバースの鍵盤、大きめの筐体に贅沢な装飾 といったイメージだ。ふたの内側に大きな絵を描いたものも多い。この楽器はフランス様式の大型楽器。5オクターヴの音域でほとんどすべてのバロック曲を弾けるので、スタンダードな楽器として広まった。

上記楽器の装飾を変えたバージョン。楽器そのものは同じだが装飾を変えるだけで雰囲気ががらっと変わってしまう。

イタリアン。音域が少し狭い。音は爆発するような立ち上がりの良さがあって、オーケストラ内で通奏低音には最適。バブルの頃はフレンチタイプの楽器が見た目の良さもあって通奏低音にはよく用いられていた。

フレミッシュ(オランダ・ベルギー)タイプ。音域もさらに狭いし楽器も小さい。6畳間におけるような小ささだ。これはフランドル地方特有の狭い部屋に置くことが出来る。写真のように装飾も印刷した紙などを貼ったものがあり、当時裕福だった地方にこの楽器が広まった様子をうかがえる。

ヴァージナル。四角い筐体に横向きに弦を張って、鍵盤は長辺側にある。この楽器は高い台に置いて、演奏者は立って演奏した。

パンフレット・カタログ

これまで載せてきたのは、当時の商品パンフレットからスキャンしたものだ。まるで楽器の歴史の本のようだ。これは商品カタログであることを忘れてしまう。

パンフレットには、楽器の詳細な寸法なども載っている。何のために?と思ったけど。そうそう、これは商品カタログ。この楽器が部屋にはいるかどうかをまず調べなければならいって事ですね。大きさを調べて、部屋にはいることはわかった。それで買ったのは良いけど、なんと廊下を曲がらなくて(ww)、廊下の角を削って入れたってな話も聞いたことがある。

「GS-240」なんかの、まるで工業製品のような「規格番号」は味けがない。海外の古典楽器メーカーはいずれも優雅な王朝風なネーミングや「バッハ」「ヴィヴァルディ」のような作曲者名をつけたりしている。ここらあたりが融通の利かない日本風な感じだ。

とにかく、カワイのチェンバロ、ピアノフォルテは良い材を使っていた。この古典楽器に一番良いところを使って残りから、安物ピアノの材をとっていたのではないかと(ww)悪い想像をしてしまう。

最後に クラヴィコード。5オクターブの大型楽器。

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