2007年03月08日
炎の罪 番外編
閑話休題
テーマ曲
私の不安は杞憂に終わった。
**マンションでは新しい管理人さんの取りなしで、最初に通報してくれた人と言うことで新たに新聞を取ってくれる人が出た。先輩の読みは見事に当たったわけだ。
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今回は本筋からはずれて、その新聞配達時代のわずか1年に起きたいくつものエピソードからいくつか。肩の凝らないものを並べてみる。
○麗人
早朝、配達しているとすれ違う人が決まってくる。一番最初に気がついたのが、びしっと決めたスーツ姿のイケメン..にしては背が低いしお尻も大きい。
「あっ。」これが「男装の麗人」かぁ。彼ら(生物学的には彼女らか)は、足取りも身振りも完全な男前なのだった。私には全く無関心な様子ですれ違った。
○組頭
夕刊を配ってるときに、人通りの少ない路地で、一見して組関係のシタッパの方と分かる一群とすれ違うことになった。恐る恐る、道の端っこを自転車を押して歩く。
「おう!元気でやってるか!」と笑顔の組関係の方。
私の頭の上にには巨大な「?」が出た。
そしてはたと思い当たった。毎朝、あるビルのエレベーターで自転車を持って乗り込んでくる人とすれ違って挨拶をしていた。
「おはようごさいます!」
「おう、元気やのう!」
そんなある日、
「おめぇ、何新聞だ?」
「**新聞です。」
「じゃあ***号室に入れてくれ。」
「ありがとうございます。」
で、入れに行くと、そこは「**組」の組事務所だったというわけ。
毎朝自転車ですれ違うのは、若頭? 組頭?
オドオドしながら集金に行くと、「なんじゃい!!」とシタッパが凄む。
「あのぉ、**さんの新聞の集金で..」
と恐る恐る名前を出すと態度急変。
すれ違ったのは、あのとき組事務所にいた方達だったのね。
○集金で怒鳴られる
まあ、人間というのはお金を払うときに本音が出る。
おばちゃんが一人で切り盛りしている一杯飲み屋。夕刊の時に集金に行ったら。
「こんな時間に集金なんかするモンじゃないよ!」と怒鳴られた。
うひゃー!いつすりゃいいんだよ。と
今度は少し早めに行ったら。
「うん、この時間ならイイよ。」
「あなたね、商売やってみると分かるけど、開け始めの時のお金が出ていくのはヤなもんなんだよ。」
なるほどなー、そういうもんかとおもったが。今の私には痛いほどよく分かる。
このおばちゃんとはうち解けていろいろお世話になった。
○フィリピンのジャパゆきさんの目に涙
歌舞伎町の隣町という場所柄、昼夜逆転の生活をしている人も多い。
領収書の名前がカタカナだったので、フィリピンあたりからでてきて、歌舞伎町の夜の世界で働いている女性だろう。
集金は夕刊の時だ。新聞を抱え、集金鞄を襷がけにした私の姿をみて、彼女は、何かを思い出したらしい。ふと涙ぐむと、私の手を握って、集金のお金とは別に1万円札を握らせてくれた。
おどろく私に「アナタ、ガンバッテイルネ。」と泣きそうな顔に作り笑顔。
事情はよく分からないけど、当時日本で稼いで、その送金で本国の親兄弟を養っている出稼ぎの女性が多くいたんだそうな。彼女がそうした一人かどうか分からないけど、そんな気がした。
○クリスマスの夜
クリスマスの夜は大事な時なんだそうな。新聞の集金にとっては。なぜなら在宅率が高い。(当時は高かったのだろう)そんなこんなで、夜、自転車に乗って集金集金。街はジングルベル。「サンタの格好でもして集金すれば少しは集まるのかな?」とヘトヘトになりながら、閉店直前のマクドナルホド(仮称)に駆け込んでコーヒーとハンバーグをたのむ。
「ハンバーグ売り切れたんですよ。」と済まなそうに店長さんが謝る。
「じゃあ、コーヒーだけでいいです。」というと
「これ売れ残りだけど」とホットアップルパイをくれた。
熱いコーヒーと熱いアップルパイで、心が温まった。
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