2007年08月21日

津波・逃げない人々

インド洋大津波

なぜ彼らは逃げようとしなかったのか

撮影場所は、 タイのカオラック県、アンダマン海に面した岬の上の建物からビーチ方向(北)を向いて撮影したものだろう。

目前の海は大きく引いていて、そこには海岸からたくさんの人が出ていて、取り残された魚や貝を拾っている様子だ。
そこへ、沖から大きな津波が迫ってくる。でも、遠浅になった海に出ている人は逃げようとしない。タイ語で「逃げろ」とか「走れ走れ」と言っているのだろう。(タイ語は全然分からない>_<)ビデオを撮影している人は、叫ぶことしかできない。

その後、何度も海岸に押し寄せる波が渦を巻いている様子が15分近くに亘って撮影されている。おそらく遺体と思われるものが浮いている衝撃的な場面もある。インド洋大津波を撮った個人の映像が多くアップロードされている。それらを見ていると、思わぬ場所で突然ズームアップがかかる事がよくある。逃げ遅れそうになった人や、海の上まで流されていく人へズームアップしたりする。
なぜだろうと、思っていたが、はたと思い当たった。撮影者は「手を差し延べて」いるのだ。おもわずズームアップして、手を差し延べようとしているのだ。あたかも自分の手が伸びるような錯覚を起こして。

そしてこれが、その同じ場所の海岸で、迫ってくる津波を正面からとらえた映像。こちらは撮影者の言葉がドイツ語。「スゴイ波だよ」とか、「あなたビデオとってる場合じゃないでしょ」とか言う会話があったあと、釣り船が転覆するに及んで危険を感じ取ったのか逃げ出す。海岸の形とかからこの上の画像とまさに同じ場所だと思われる。よく聴いてると、タイ語で「逃げろ」という、上記の映像の叫び声が入っているように聞こえる。

ここにはまさに、近づいてくる大津波を目前に逃げない人々が写っている。私らはこれが津波だと言うことが分かったあとから見ているので、なぜ逃げないと疑問に思ってしまう。しかし、この海岸に津波が来ることを知らされない、津波なんて思いもよらない人々は、ただ「凄い波」としか思っていないのではないか。バシャッと来てすぐに引いていくあの普通の波と同じ感覚だ。その普通の波の後背には大量の海水が控えていることなど思い当たらなくて当然だろう。見た目は普通の波のちょっと大きいモノ程度としか見えないのだ。

津波というと、映画などの影響で巨大なビルのような波が迫ってくるものと思いがちだが、現実はもっと狡猾だということを思い知らされる。

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