2007年09月04日

おもちゃ探し全国行脚

それは前世紀末突然降って沸いたのだった。

マーケティングをやってる会社にいたということもあって、興味のあるモノ面白そうなモノは何でも持ち込みOKという鷹揚な会社だったこともあって、いろんな面白いモノを会社のデスクに持ち込んでいた。

そんな1998年、「マインドストーム」という新しいコンセプトのレゴの登場。そして京急がプラレールを発売。システム系のおもちゃに急に目がいくようになって、この「システムおもちゃ斥候廠」なるサイトを立ち上げたのだった。当時はもちろんブログなど無くて、単独サイト。しこしことHTMLを手書きしていたのだった。

そこで、泥沼ともしれず足をつっこんだのがおもちゃ界。子供達が無邪気に遊んでいるのは最上部の上澄みだけで、そのすぐ下にはなにやら怪しげな世界がうごめいているとは。

今では、フツーの言葉になった「レアもの」当時はマニアの言葉だった。絶版とか廃盤とか言う言葉も飛び交っていた。で、当然今は手に入らない「絶版」探しの旅となるのだが、これが世紀をまたいでの全国行脚となっていくのだった。orz

当時は横浜に住み東京のマーケティングの会社に通っていた。インターネットはすでに導入されていたが、ブロードバンドはまだ将来構想の時代。それでもNTTがネットで職業別電話帳を公開したのは大きかった。(もちろん仕事上ね)その情報力を存分に使って、まずは東京23区内のおもちゃ屋を全店回る(!)計画を立てた。

成功率は高かった。というのも、「敵」(=同業者)にはおそらくインターネットを活用するスキルもそのアイデアも「まだ」無いだろう。しかし気づくのは時間の問題である。その前に総ざらえしよう。そういう目論見だった。毎週金曜日にはNTTのデータをどっさりダウンロードし、ネット地図にプロットして土日に歩くルートを決める。土曜の朝。まずは鶴見神社に本日の収穫を祈願して繰り出す。という手筈だ。東京の住宅街とその周辺を主に歩き通した。

ほぼ目論見通り事は運んだと言っていいだろう。売れ残り店ざらしの商品を定価で買っていく変な兄ちゃんに店主は大喜び。その時のやりとりの状態にもよるけど「こんなのもあるけどいる?」と奥の棚や倉庫からびっくりするようなデッドストックが出てくることもあった。

住宅街に隣接した商店街にあるおもちゃ屋以外にも、某歓楽街中の回転の良さそうなおもちゃ屋でも、ちゃんと大切にデッドストックされていたりして、意外なところから意外なモノが出てきたり、ありそうだと思っていたら全くなかったりと、勉強になる経験をした。そこで「願いは少しずれて叶う」という経験則を導いてみた。もちろん鶴見神社の霊験あらたかなことはいうまでもない。

そうこうするうちに、仲間が出てくる。興味の分野がピンポイントではずれているが、大まかには重なっているという仲間だ。おもちゃ好きだけど、A氏はガンダム、B氏はプラモ、C氏はプラレールってな感じがよい。みんな結構おもちゃ屋を回っていたりして、視野の中には、仲間の好みのモノも捉えていたりするので、自然と情報が集まってくる。ピンポイントが重なっていてはだめね。こういう足で稼いだ情報は簡単には渡したくないから。

さて、東京・神奈川は回り尽くした。周辺衛星都市は調査の結果希望皆無と判断した。いろいろ発掘の噂は聞くが、毎週末のように収穫があった(ある意味贅沢な)身としては、1軒行くために高い交通費を使って何もないという事が続くと予想されたわけだ。確率論ですな。

そこで地方都市に目を向ける。正直言って新潟東北方面は東京の衛星都市でこの方面を回るのも諦めた。希望は西方向だ。

そういうわけで、旅費の関係もあって、20世紀末、九州への帰省はおもちゃ探し行脚となった。時間は限られているわけで、確率の高いところでないと無駄になる。まずは名古屋だ。某寺町付近にはどういう訳かおもちゃ屋が集積している。で、そこを訪ねた。1軒目。「プラレールは..」と言うと「ここにいっぴゃぁあるでよぅ」と、その棚を見る。我が目を疑った。品物の内容は書かないが、私は「これ全部ください。」と言ったのだった。そのやりとりを聴いてたおばあちゃんが、気を利かして、「こんなんもあるけど、どうや」と木の箱を持ってきた。箱の中身は!!!!これを観音様の御利益といわずしてなんと言おうか。

寺町なのに、参拝する前から御利益をいただいたお礼に観音様をお参りしてさらに次の店、次の店と回る。なんだかんだで大収穫。買ったものは夕方ホテルにチェックインする前に近場のコンビニに寄って横浜の自宅宛に、帰宅日を指定して発送する。

翌日は大阪、翌々日は岡山・広島、翌々々日は博多。都市によって、子供の多寡や契機の格差を実感しながらも大きな収穫を得て帰省したのだった。

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