2008年04月03日

「新幹線で街は栄えない」-街は「衰退力」を身につけよ

「新幹線で街は栄えない」 全駅を乗り降りした自称オタクの銀行マンが講演
まさにその通りだ。要するに事実を見据えよというわけだ。私は鉄道マニアであるから、新幹線建設には基本的に賛成だ。速い鉄道、新しい鉄道には乗ってみたいし。開通後に街が発展するか、衰退するかは駅ができた街の力量一つにかかっているだろう。

その意味では、新幹線開業に伴う騒ぎは、賛成派も反対派も同じような思いこみに立脚している。すなわち「発展=善」「衰退=悪」という思いこみだ。いつの間にか私もこの思いこみに染まっていた。

Procyonさんのブログに覚醒させられたのは、次の言葉だ。

都会には都会なりの生活スタイルが、田舎には田舎なりの生活スタイルがあるだろうし、今後はそれぞれをもっと発展させていく方向で考えていくべきなんじゃないか。
その意味で、地方はあえて「衰退」を受け入れ、衰退した街ならではの生活・経済構造を模索していった方が建設的だと思うし、実際そうしていかないと地方は本当に危ないと思う。
つまり、今度新幹線が新しく通る街が今すべきことは、経済効果を期待することではなくて、来たるべき衰退の波にどう対応していくか、その中でどう生きていくべきかを考えることだと思う。
新幹線=発展という幻想 - たったひとつの日常

人生において「老い」が「悪」ではなく、その人の一生の一局面であり、老いの過程でしか得られれない悟りもあるだろう。これが近頃「老人力」という言葉で脚光を浴びた。なれば、衰退していく町には「衰退力」をしっかり身につけなければ、残るは醜さだけだ。自らが年老いていくことを認めたがらず、若かった頃の幻想をいつまでも追い続ける人物が醜いように、衰退を受け入れずに悪あがきする街は醜くくなっていくだろう。

「衰退」という言葉のイメージの問題もあるかもしれないな。なにか、かっこいい言葉で置き換えればいいのかもしれない。


Source

cover 実測!ニッポンの地域力 (単行本)
藻谷 浩介 (著)

Amazonの「MARC」データベースより
地域間格差なんてない! 平成合併前の3200市町村の99%を訪れ、日本全国の実情を熟知した地域エコノミストが、人口減少・高齢化がもたらすインパクトを的確に捉え、地域経済を構築するためのヒントを提起する。

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