2008年04月04日

パルティータ:音楽になってるピノック

いよいよTVを全く...(おじゃる丸をのぞく)...見なくなってきて、音楽をかけながら本を読んだり、ネットサーフィンをしたり、こうしてブログを更新したりと言うことが多くなってきた。そのなかでヘビーローテーションになりつつあるのがピノックが20年以上前にArchiveに録音したバッハのパルティータだ。このCDを買った頃は大学生で、せわしなく生活してた(笑)。ざっと聴いて、ピノックならこんなモンかな..6番のジーグの処理の仕方はレオンハルトと対極にあるな..くらいでお蔵入りになっていた。

最近再び聴き出して、これが実に心地よいのだ。ハッキリ解ることは、演奏の最中ピノックは音楽そのものになっていると言うことだ。多くの録音がそうであるように、これも何度かテイクしたものを編集したものに違いないが、それでも、その「音楽になる」という状態がキープされているのはすごい。普通これを集中力と言うようだが、集中力と言ったときに連想される「力み」というようなものはない。

早い時期にこの境地に達することのできるようになった若い演奏者はしばしば「天才」とひとくくりにされてしまうが、こうして録音に残ったものをきいてみても、その境地から出てくる何かこう「惹きつける力」というのはすごいなと思う。

録音はややオンマイクだが間接音をよく拾っており、アンプと音量の調整で音場をうまくつくれば、目の前にチェンバロが立ち上がってくる。リスニング環境を整えることをやや要求するCDだ。

Bach: 6 Partitas; Goldberg Variations; French Overture; Italian Concerto
Johann Sebastian Bach (作曲)
Trevor Pinnock (Harpsichord)

今は、廉価版でゴールドベルク変奏曲などと一緒になった3枚組で出ている。一つ一つの曲を聞き流せる演奏をするというのは実は大変な才能なのかもしれない。それは何度聞いても飽きないことを意味しているし、実際私はここ半年でそれを痛感している。手兵のイングリッシュコンサートを率いて来日したとき、連日のようにあったコンサートを東京近辺すべて追いかけ、拍手しまくりで、手が赤く腫れたのを今も思い出す(笑)。

また、2000年にはHaensslerに再び録音をしている。私はまだこちらは聴いていないが、そのうち聴いてみようと思っている。15年の年月を経てどう変わったかが楽しみだ。が、今は当分この若いピノックの演奏を楽しむことにする。

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