2008年04月09日

鉄道新線計画のその後-東京東部・埼玉周辺

川島令三氏の鉄道著書には大きく影響を受けている。特におもしろいのは川島氏の将来予想だ。将来予想にはつきもののやや勇み足もあり、見当違いも当然のことながらでてくる。そこで昔の著書をここで引っ張り出して、2008年4月時点で実現しているかどうかを検証しようというわけだ。この記事は氏へのオマージュである。

検証する本は どうなる新線鉄道計画 東日本最新版―これから開通・延長される計画路線の全容〈’97〉 だ。この本で示されている新線計画はもちろん氏の独断ではなく、当地の自治体や地元有志から発案されているものだ。ここでは、東京東部・埼玉関連の案を取り上げた。

No.計画新線○×考察
19半蔵門・有楽町線延長線 半蔵門線:水天宮前-押上→開通
有楽町線:豊洲-押上→未開通

半蔵門線の水天宮前-押上間は2003年3月19日に開通。有楽町線の分岐線は未だ構想段階にとどまっている。
半蔵門線延長は東武伊勢崎線の都心フィーダー線として機能している。
押上から先延長計画には11号線は松戸方面、8号線は野田市方面へ延伸する構想がある。しかし、東京メトロは株式公開を控えていてこれら延伸計画には消極的である。2008年6月に開業する「副都心線」は東京最後の地下鉄であるとしている。
○参考サイト:首都圏の未来地下鉄情報・計画・ニュース
20東京臨海新交通 有明-豊洲→開通
豊洲から晴海地域を経由して勝どきまでの計画があるが、計画は具体化していない。尚、豊洲駅の先に伸びている軌道は左にカーブして将来の延伸に備えている。
本書ではジグザグに運行しては不便なだけと提言。晴海通りを直進して銀座経由で新橋と直通し、環状化することを提案している。
○参考サイト:ゆりかもめ延伸計画を追いかける
22東京臨海高速鉄道 東京テレポート-大崎→開通
本書が書かれた当時は、新木場-東京テレポート間の部分開業だった。2002年12月1日に大崎まで全通した。現在は埼京線と相互乗り入れしている。
本書では東海道貨物船を経由して横浜方面への運転も提案している。また、埼京線への乗り入れはむしろ横須賀線のほうが適していると提案しているが、これは後に新宿湘南ラインとして実現している。
○参考サイト:りんかい線
23都営12号線 放射部:練馬-新宿→開通
環状部:新宿-都庁前→開通

本書の書かれた当時は放射部の光が丘-練馬間のみの部分開業だった。その後順次延伸され、2000年12月12日全通した。2002年11月2日、汐留地区再開発にともない汐留駅が開業した。
開業時には「東京環状線-ゆめもぐら」という名称になる予定だったが、石原都知事から環状運転しないのに「環状線」というのはおかしいと横槍が入り、「大江戸線」という名称になった。
本書では、12号線は地下の深いところを走っており、乗り降りに時間がかかるため、様々な路線との乗り入れがなければ不便であるとして、銀座線や舎人新線などもリニア式に改造して乗り入れることを提案している。
また、環状部の北新宿(現 新宿西口)-新宿間にも線路を造り環状運転することを提案している。
○参考サイト:都営地下鉄 | 東京都交通局
24舎人新線 日暮里-見沼代親水公園→開通
2008年3月30日「日暮里・舎人ライナー」として開業した。
本書では、ミニ地下鉄として建設し、都営12号線と直通運転することを提案してる。
○参考サイト:日暮里・舎人ライナー | 東京都交通局
25埼玉都市モノレール× 大宮浦和地区にモノレール網→未開業
本書が書かれた時点(1997)で構想から10年が経過しており、「このままペーパープランとなる恐れも強い」と予想している。この点では「アタリ」。
他線との乗り入れのできないモノレールでは乗り換えの不便が生じるとして、デュアルモードバス(=ガイドウェイバス)の導入を提案してる。とりあえず渋滞区間をバスが避けるために建設すれば、面的な広がりを持たせることができるとして、デュアルモード軌道の建設区間の例に浦和駅・大宮駅・上尾駅の東西横断区間を数キロずつ作り、当該駅へ向かうバスがこの軌道に乗り入れることを提案している。
○参考サイト:ゆとりーとライン
26埼玉高速鉄道 赤羽岩淵-浦和大門→開通
2001年3月28日開通。
浦和大門から岩槻まで延伸の要望がある。この場合東北自動車道の上を高架で通すのが理にかなっているとしている。
○参考サイト:埼玉高速鉄道『都心直結、埼玉スタジアム直結』
Source

cover どうなる新線鉄道計画 東日本最新版―これから開通・延長される計画路線の全容〈’97〉
川島 令三 (著)

Amazonの「BOOK」データベースより
本書は、全国の鉄道新線計画を整理して紹介し、得失まで踏み込み、意味のある路線なのかどうかを吟味することを目的とした。構成として、最初に計画経緯、次に「建設概要」、そして「どうなるどうする」の3項目に分けた。計画経緯、「建設概要」、はできるだけ忠実に現計画を元にして想定するが、「どうなるどうする」では著者自身の鉄道に対する持論を元にした提言を主に述べた。

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